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空き教室で循環型農業

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大阪府豊中市は、廃校となった旧野田小学校の空き教室を民間事業者3者に貸し出しました。
そのうちの1つの事業者が、キノコ栽培を核とした循環型農業を開始しました。
この取り組みは、廃校の暫定利用を通じて地域ビジネスを育成し、地域の活性化を図ることを目指しています。

大阪府豊中市は、廃校となった旧野田小学校の空き教室を、民間事業者3者に貸し出しています。この取り組みは、跡地の本格利用が始まる令和8年度末までの2年半の期間を対象としています。

その中の1つの事業者は、キノコ栽培を中心とした循環型農業を開始し、地元の小売店にキノコを販売するほか、キノコ収穫祭などのイベントを通じて地域の交流を促進し、地域の活性化を目指しています。

廃校の利用は全国的にも行われていますが、本格利用までの暫定期間を活用する取り組みは珍しいです。豊中市の経営戦略課は、「短期間ではあるが、廃校をそのまま放置するのではなく、地域の資源として校舎を有効活用するために提案を公募しました。地域の課題解決や活性化につながるビジネスの種を撒き、暫定期間終了後には新たなビジネスとして地域に定着し、成長するように、しっかりとサポートしていきたい」と述べています。

旧野田小学校は、市南部地域の小・中学校の再編により、義務教育学校である庄内さくら学園に統合され、2023年3月に閉校しました。この跡地については、当面、校庭や体育館を地域の活動や避難場所として利用しつつ、令和9年度(2027年度)以降、本格的な利用に向けて校舎の解体を進める予定です。

それまでの約2年半の期間、校舎を有効に活用するため、地域活性化に寄与する事業の提案を、個人を含む民間事業者から公募し、3者を受託候補者として選びました。循環型農業はその第1弾の取り組みであり、今後、7月から8月にかけて順次、他の事業も開始される予定です。

このプロジェクトでは、地域から集めたコーヒーかすをキノコの培地として再利用し、ヒラタケを中心としたキノコを栽培します。キノコ栽培が終わった後の培地(廃菌床)は、さらに有効活用されます。

まず、この廃菌床をカブトムシの幼虫の餌として利用し、カブトムシを育てます。カブトムシの幼虫がこの餌を食べた後に排出する糞は、栄養価の高い堆肥となります。この堆肥を、地域の園芸店や農家、家庭菜園を持つ人々に提供することで、農業や園芸に役立てます。

この一連のプロセスにより、コーヒーかすからキノコ、カブトムシ、堆肥へと循環させることで、廃棄物を無駄にせず、資源を最大限に活用することができます。こうした取り組みは、環境にやさしい循環経済の仕組みを実現し、地域の持続可能な発展に貢献します。

循環型農業の仕組み

循環型農業は、自然の循環を取り入れた持続可能な農業の仕組みです。このシステムは、資源の無駄を最小限に抑え、環境への負荷を軽減しながら効率的に農作物を生産することを目指します。具体的には、以下のような方法が取り入れられます。

有機廃棄物の再利用

食品廃棄物や農作物の残渣を堆肥化し、それを土壌に戻すことで、肥料として利用します。これにより、化学肥料の使用を減らし、土壌の健康を保ちます。

水の再利用

水の使用量を最小限に抑え、必要に応じて雨水の収集や再利用を行います。これにより、水資源の節約が図られます。

多様な作物の栽培

異なる種類の作物を交互に栽培することで、病害虫の発生を抑え、土壌の肥沃度を維持します。これにより、化学農薬の使用を減らすことができます。

動植物の相互作用の活用

家畜の飼育と農作物の栽培を組み合わせることで、家畜の排泄物を肥料として利用し、農作物の残渣を家畜の飼料として活用するなど、動植物の相互作用を利用します。

エネルギーの再利用

バイオガスの生成など、農業廃棄物をエネルギー源として利用することで、エネルギーの自給自足を目指します。